日本は遅れている?データから見る対外受精の新常識

 講談社ブルーバックスより刊行された「不妊治療を考えたら読む本」によると、「日本は世界で一番不妊治療で出産できない国」だったそうです!医療先進国と言われている日本にも関わらず、何故このような事が起こっているのでしょうか。


日本は世界の中で最も体外受精の実施件数が多い国です。しかし、一回の採卵あたりの出産率は世界最下位となっています(グラフは引用元URLをご参照ください)。これは、世界各国の生殖補助医療の実施状況をモニタリングしている組織「国際生殖補助医療監視委員会〈ICMART〉」が世界60ヵ国を調査し、2016年に発表したレポートに基づくデータです。

何故このような事態となっているのでしょうか。もちろん日本の技術力が劣っているわけではありません。

・日本では妊娠を望む人の年齢が高くなっている(比較的高齢で不妊治療を始める方が多い)。

不妊治療を実践する心のハードルが他国より高い日本は、不妊治療を始める年齢が高く、出産まで至る可能性が低くなっています。

・日本人は倫理的な観点から効果の低い治療を選択しがちである。

例えば、体外受精で採卵(卵巣で育った卵子をカテーテルで採り出すこと)をする際、事前に薬を投与して卵巣内でたくさんの卵子を育ててから採る方法もありますが、薬をほとんど使わずに、卵巣内で自然に育った卵子だけを採る「自然周期」という方法があります。これは、日本では多く行われているのですが、じつは妊娠率が低いということが明らかになっています。実際、海外ではあまり行われていません。その成功率の低さゆえに、英国では、国のガイドラインで「自然周期の体外受精は患者に提案しないこと」と定められているほどなのです(「英国立医療技術評価機構〈NICE〉」の診療ガイドラインより)。※ただし医師によってはその限りではないという意見もあります。

また、いまや受精卵は、凍結させたほうが妊娠率が上がるという事実もあります。なぜ受精卵を凍結したほうが妊娠率が上がるのでしょうか?倫理的な面からも、受精卵を凍結して保存しておくことに、抵抗を感じる人も多いかもしれません。ですが、最近は受精卵を凍結したほうが、体外受精の妊娠率は高くなるということが明らかになっています。体外受精の際、できた受精卵(胚)を子宮に移植するにはふたつの方法があります。凍結せずに、すぐに子宮に移植する「新鮮胚移植」と、凍結してから移植する「凍結胚移植」です。このふたつの方法を比べると、最新のデータでは新鮮胚移植より、凍結胚移植のほうが1.5倍も妊娠率は高いのです(日本産科婦人科学会2013年発表データより)。受精卵を凍結しない場合、採卵したその周期に受精卵を子宮に戻さなければならないので、子宮内の状態が整っていないこともあるのですが、受精卵を凍結させると、子宮内膜の状態が着床しやすいように準備ができたタイミングで移植することができるからなのです。

このように、これまで不妊治療については、あまり知られていなかった最新のデータが存在します。

冒頭に紹介した本などから、本当にご自分に合った治療方法を模索する必要があるかもしれませんね。更に詳しく知りたい方は、参照URL及び、「不妊治療を考えたら読む本」(講談社ブルーバックス刊)を是非ご覧ください。

参考URL

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/55220

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